今回は、沼津工業高等専門学校より下記の内容でご講演いただきます。最先端研究の内容を知ると同時に、研究者との交流も持っていただき、今後の企業活動等に活かしていただければと存じます。多数のご来場をお待ちしております。
独立行政法人 国立高等専門学校機構 沼津工業高等専門学校
講演1. 「 プラズマ対向壁間相互作用の研究〜人工の太陽を〜 」
沼津工業高等専門学校 電気電子工学科 西村賢治 准教授
Keywords :自然エネルギー、発電システム
現在の発電システムは主に化石燃料を使っていて、このペースで使い続けると、そう遠くないうちに資源が枯渇すると言われている。原子力も例外ではなく、百年以内にウラン燃料は枯渇すると言われている。今後も増え続けるエネルギー需要に対して、エコロジーという観点から、 自然エネルギーへの注目が高まっている昨今、福島原発の事故によって、クリーンな発電システムがより一層求められるようになったが、既存の発電システムを代替できるようなものはまだ確立していない。 しかし核融合が実現できれば、枯渇の心配がなく、比較的クリーンな発電システムを構築できる。これは太陽で起きている現象と同じなので、実現できれば人工の太陽を作ったことになる。この装置を作成するための材料評価、さまざまな素過程を追跡するシミュレーションプログラムの開発を行い、適切な構造と材質の評価を行っている。
講演2. 「 環境にやさしいドライミスト冷却システム 」
沼津工業高等専門学校 機械工学科 手塚重久 教授
近年、都心の気温が郊外に比べ高くなるヒ−トアイランド現象が問題視されている。 東京ではこれにより、年平均気温がこの100年間で 2℃上昇し、熱帯夜が年間30日を越えるようになってきた。原因としては、都市化による道路・建物など人工被覆面の拡大、エアコ ンや車などから出る人工排熱の増加などがあげられている。対策として、植物・樹木による都市緑化、高反射率塗装、環境緩和型舗装などが考えられているが、最近ドライミスト®冷却が注目されてきている。ドライミスト冷却とは、水を蒸発しやすい微細なミストの状態で噴霧し、気化熱によりその空間を冷却するシステムで、ミストの粒径を 10〜30μm にすれば、噴霧直後に気化し、周囲が濡れないことから 、「ドライミスト」と呼ばれている。これにより、屋外で気温を、2〜3℃下げることが可能で、エネルギー消費がエアコンの1/20 程度と言われ、外部への排出熱がない 環境にやさしい現代の”打ち水”といえる。講演では、ドライミスト冷却の原理を説明し、試作した冷却システムを紹介する。