今回は記念すべき75回目の開催です。 静岡大学に協力いただき、下記のような内容による講演とポスターセッションを企画しました。講演者と交流され、今後の活動に活かしてもらえばと考えます。学長・副学長も参加されます。多数の方の来場をお待ちしております。
静岡大学
基調講演 『人口減少・国際競争と中小企業の新しい役割・戦略』
静岡大学 名誉教授 土居英二 氏
中小企業は、人口減少、国際競争の激化などで厳しい環境にさらされている。 独自の予測では、静岡市の人口は2000年の約73万人から、2075年には約29万人へと減少することが予想される(左図)。その4割が65歳以上の高齢者となる静岡市とは、いったいどのような姿をしているのだろうか。 国力の原動力となってきた中小企業は、どのような役割が発揮できるのだろうか。想像力を働かせ、知恵を出し合い、これから起きるさまざまな問題をみんなで考え解決してゆくために、話題を提供したい。
講演1 『 最先端・可視化技術の紹介〜 旅行者バッグの中身が特定できる!〜 』
静岡大学 電子工学研究所 准教授 青木徹 氏
X線イメージ技術は、長い歴史を持つ透過イメージングの代表例だが、白黒のいわゆる影絵であった。最近になってX線の強度だけでなく、エネルギー(波長)を使って透過した材質を識別する手法がすこしずつ実用化され始めてきた。ここではその精度をずっと高くし、断層像の実効原子番号と電子密度を可視化し、透過像の物体識別をするPhoton Counting CTを紹介する。図は(a)可視光画像(チョコレートとキャラメルと爆弾)、(b)はX線透過像、(c)は通常のCT像で形状以外の物質の判別が難しいのに対し、(d)は実効原子番号マッピング像、(e)は電子密度マッピング像で、これらから爆弾では明らかに電子密度が高いことがわかる。
講演2 『 最先端・高精度位置計測技術の紹介〜 土砂崩れの“予知”ができる!〜 』
静岡大学 工学部電気電子工学科 准教授 橋本岳 氏
本技術は、受動的ステレオ計測を用いた対象の位置計測、特に高精度計測を特徴としており、既存技術より一桁上の高精度計測を実現できる。例えば、50m先の対象を1mm以下の誤差での計測が可能である。 本技術の応用例として、アルゼンチンの氷河計測を挙げる。氷河の1日の動きが2m以下、かつ対象までの距離が1km以上という厳しい計測条件のもと、氷河の詳細な動きを計測できた。また現在、防災への応用として、土砂崩れ(山崩れ)の“予知”に鋭意取り組んでいる。土砂崩れ発生の前には、山全体が膨張する、擁壁のブロックが飛び出してくるなどの予兆現象が知られている。そこで、それらの変化を数値的に計測することで、土砂崩れを予測できる警戒システムの実現を目指している。具体的には,静岡県内で最も交通が集中する由比付近にて、擁壁ブロックの計測を行っており、24時間計測システムの実現を準備している。 本高精度計測技術には様々な応用が考えられる。生産技術、測量、医療、その他様々な応用についても鋭意取り組んでいる。