第93回(平成27年度第1回)産学官交流のご案内を致します。今回は、静岡県立大学にご協力いただき、下記内容の講演を開催します。是非この機会に大学関係者・講演者と交流され、今後の事業活動等にお役立ていただきますようご案内申し上げます。
静岡県立大学
「地域に貢献する大学として」
講演1 『地域とともに〜「地方創生」と大学の役割〜』
静岡県立大学 新学長 鬼頭 宏 氏
Keywords:地域貢献、人口流出、地方創生、地(知)の拠点整備事業(大学COC事業)
静岡県立大学に、この4月1日に、学長として就任しました。今回、学長として、県内で初めての講演となります。
本学は、昨年度に採択された地(知)の拠点整備事業(大学COC事業=Center of Community)を推進し、大学が知の発信を通じて、地域の拠点となり、社会貢献、地方創生を担っていくこととしています。
今回は、私の専門領域である歴史人口学の立場から、「人口減少社会」、「人口流出」の問題点を明らかにするとともに、静岡県立大学で、学長として取組んでみたいことを発表します。歴史を振り返ってみれば、人口が停滞した時代は、実は新しい技術や文化を育んだ時代でした。たとえば江戸時代の後半は、苦心して地場産業を起こし、特産物を生み出しました。地域の皆様にとって、大学を活用し、大学と一体となって、地方創生を図る、そのきっかけの場となるセミナーとします。
講演2 『農地への太陽光発電の導入の可能性について』
静岡県立大学 食品栄養科学部 環境生命科学科 教授 谷 晃 氏
Keywords:ソーラーシェアリング、太陽光パネル、農業
農地の上に太陽電池を設置し、売電と作物生産を両立させる営農継続型太陽光発電(いわゆるソーラーシェアリング)が、2013年3月に農林水産省によって認められました(農地転用許可)。静岡県でも2014年以降転用申請が増えており、茶園、水田などで営農継続型太陽光発電設備が設置され、実際に運用されている事例が見受けられます。しかし、農林水産省の規定として、下部の農地における単収が、同じ年の地域の平均的な単収と比較しておおむね8割以上を確保し、生産された農作物の品質に著しい劣化が生じないこと、とありこれらを満たさない場合3年後の審査で転用の継続が認められません。
経営安定化を目指す農家の関心を集めている一方、買い取り制度自体の問題点が顕在化し、先行きが見えにくい点もあります。
演者は、2010年から作物上に太陽電池を設置した場合の、栽培環境の変化や、それが収穫量に及ぼす影響、および太陽電池下でも作物成育を改善する方法の開発を研究してきました。本講演では、営農型太陽光発電の現状とメリットと問題点を解説し、静岡県内2箇所の水田で実施された営農型太陽光発電設備の下で生育するイネの微気象環境と成育について紹介します。