第95回(平成27年度第3回)産学官交流のご案内を致します。今回は静岡大学にご協力いただき、下記内容の講演を開催します。是非この機会に大学関係者・講演者と交流され、今後の事業活動等にお役立ていただきますようご案内申し上げます。
静岡大学
「喫緊の課題:地球温暖化と人の健康について」
講演1 『真に環境に優しい「グリーンイノベーション技術」とは?』
静岡大学 総合科学技術研究科工学専攻 准教授 松田 智 氏
Keywords:グリーンイノベーション、FIT 制度、温暖化対策、低炭素社会
「グリーンイノベーション技術」と総称される技術には様々なものが含まれ、現代の「リサイクルビジネス」の多くもそれらに依存しているが、有望なものから荒唐無稽としか考えられないものまで、正に玉石混淆の感を免れない。本講では、まずその全体像を概観し、現在すでに展開中のもの、将来の発展が期待されるものなどを見極める。その際、技術を見る目を養うための着目ポイントを考察する。一つは、技術がどの発展段階にあるのかを見極めること、もう一つは、有望技術であるための必要条件をできるだけ定量的に検討することである。エネルギー関係では、メタン発酵・バイオマス・太陽光発電などFIT(固定価格買取)制度を前提とするものが多いので、この制度の社会的有用性を検証した研究例を紹介する。また併せて、最近注目されている「水素エネルギー社会」の実現可能性について考察する。また、これらはすべて温暖化対策としての「低炭素社会」をめざす動きを基礎とするので、そこに含まれる科学研究上の問題点を指摘する。
<講師略歴> 1954 年生まれ。京都大学工学部卒業、東京工業大学大学院博士課程修了、工学博士。主な研究分野は、バイオマスエネルギーの有効利用法、微生物を用いた廃棄物処理(生ごみ処理・メタン発酵など)、リサイクル技術の工学的評価、佐鳴湖などの湖沼水質汚濁機構の解明と対策技術など。主な著書には「廃棄物工学」(培風館)、「幻想のバイオ燃料」(日刊工業新聞社)など。主な担当授業科目は環境化学工学、物質循環化学、環境政策論、移動現象論など。静岡県・浜松市・名古屋市などの各種委員を多数兼務。NPO 法人「エコライフはままつ」副理事長として、社会貢献活動も行っている。
講演2 『食品成分でメタボリックシンドロームを予防する』
静岡大学 総合科学技術研究科農学専攻 准教授 茶山 和敏 氏
Keywords:食品成分、メタボリックシンドローム、肥満、動脈硬化症
日本を含めた先進国では、肥満が人口の20〜30%にも達しており、肥満が原因で起きる糖 尿病や動脈硬化症などのメタボリックシンドロームの罹患とそれによる医療費の増大が世界的な社会問題となっている。そのため、メタボリックシンドロームの元凶である肥満については、特に、その予防に関する研究が進められている。 一方、食品の取りすぎによって生じる肥満を特定の食品あるいは食品成分の摂取によって抑 制できることが最近の研究で明らかにされており、実際に、いくつの食品成分が、特定保健用食品として、肥満やメタボリックシンドロームの予防を謳って発売されている。 本講演では、肥満や老化によって起きる様々な問題を概説するとともに、最近の機能性食品の種類や特徴について紹介する。 また、講演者の研究によって明らかにされた肥満や動脈硬化症の予防効果を有する食品成分の具体的な研究成果について紹介する。
<講師略歴> 1960年生まれ 日本大学農獣医学部畜産学科卒業、農学博士。実験動物、主にマウスを用いて、種々の疾病、特に、肥満、動脈硬化症、自己免疫病に対する食品あるいは食品成分、天然物質、化学合成物質などの抑制効果について研究している。 現在は緑茶成分、プロポリス成分、ブドウ成分の抗肥満、摂食抑制および免疫抑制作用について取り組んでいる。また、新生児の成長や免疫発達に対するミルク中の免疫関連成分の効果についても検討を行っている。