第106回開催のご案内をします。今回は、静岡農業高校を会場に、大学研究者、企業、高校関係者が講演や発表を行います。講演者や発表者等と交流を持ち、今後の企業・食品関係者活動等に活かしてもらえば幸いです。ご参加よろしくお願いします。
研究発表 『松葉の新たな可能性を地域へ 』
静岡県立静岡農業高等学校 松葉研究班
第67回日本学校農業クラブ全国大会で最優秀賞・文部科学大臣賞を受賞しました。 私達は大学・地元企業との協力の中で松葉の新たな効能を発見、商品開発を行い三保地域の資源の活用に取り組んでいます。また静岡市と共同で商品のPRを行うなど県からのバックアップを受けながら地域活性活動を行っています。
企業発表 『お茶の持つ医学・薬学的な根拠から、確かな効果・効能が認められる製品の研究開発を目指す』
株式会社 佐藤園 代表取締役社長 佐藤公彦 氏
佐藤園では、栽培から収穫、製茶、仕上げ、販売まですべて手がける「メーカー」だから、しっかり育てたよい茶葉を、いちばんよい状態で収穫、加工し、本当においしいお茶をお客様にお届けしています。さらに、佐藤園食薬研究所で茶園の肥料の設計、土質の管理を行い、さらに出荷するすべての茶葉に、最新の分析機器を用いて、放射能検査、残留農薬検査を自社で行うことで安心安全のお茶をお届けするように努めています。 このようにおいしさ、安全性への取り組みと並行して、お茶を嗜好品から機能性飲料へとその役割を広げて、臨床データをもとに機能性のお茶=特定保健用食品(トクホ)や機能性表示食品のお茶の開発に取り組んできました。さらに最近では研究所機能をフルに活用して、人の健康に役立つ成分を広く植物から探し出す基礎的な研究も始めています。
講演『植物の液胞とオートファジー 〜葉や果実を使った料理の色や苦味〜』
東海大学 短期大学部 食物栄養学科 講師 高塚千広 氏
植物細胞には液胞が存在します。液胞の中には、様々な物質が蓄積しています。身近な例は、ナスやアカジソが持つアントシアニンという色素や、チャの苦味成分であるカテキンです。一方で、液胞は、普段から細胞の一部を取り込み分解しています。このように細胞の成分が液胞に運ばれ分解される現象をオートファジーと言います。アントシアニンやカテキンなどの物質が液胞にどのように運ばれるかに関しては、わかっていないことが多いのですが、オートファジーと同じ仕組みで液胞に運ばれるものもあると考えられます。 本講演では、まず、液胞が植物細胞において果たしている様々な役割を説明します。次に、オートファジーと液胞の関係を説明し、私たちの研究で得られた新たな知見を紹介します。 最後に、日本では、植物の液胞が持つ美しい色や苦味を生かす工夫を凝らした料理が、古くから伝え継がれてきたことについて触れます。