第81回(平成25年度第3回)産学官交流のご案内を致します。 今回は静岡大学にご協力いただき、下記の内容にて企画しました。大学関係者・講演者と交流され、今後の 活動に活かしてもらえばと考えます。多数の方の来場をお待ちしております。
静岡大学
講演1 『 亜臨界・超臨界流体を用いる複合材料のリサイクル 』
静岡大学大学院工学研究科化学バイオ工学専攻 助教 岡島いづみ氏
Keywords :亜臨界流体、超臨界流体、CFRP、リサイクル
近年、環境保全と資源の有効利用の観点から、廃棄物の資源化技術に対する関心が高まっ ている。また、環境低負荷なものづくりのために、グリーン溶媒を用いた合成や抽出技術に ついても注目が集まっている。当研究室では、環境負荷の少ない水や二酸化炭素、アルコール等を超臨界流体(臨界温度及び臨界圧力以上の流体)や亜臨界流体(臨界温度以下、飽和蒸気圧以上の高圧液体)にして溶媒として用い、廃プラスチックの資源化やバイオマス廃棄物の燃料化、有用成分の抽出等に関する研究を行っている。今回は、最近自動車分野等でも導入が検討されているCFRP(炭素繊維強化プラスチック)等の複合材料のリサイクルについての研究例を紹介する。
講演2 『 静岡発(初)の環境調和型合成プロセス 』 〜マイクロナノバブルを用いた有機合成〜
静岡大学大学院工学研究科化学バイオ工学専攻 准教授 間瀬 暢之氏
Keywords :マイクロナノバブル、気相−液相反応、環境調和型有機合成
有機合成化学では種々の基質と試薬を反応させ、目的の骨格へと誘導し、多種多様な有用物質を合成する。気相・液相・固相の形態で反応は行われ、特に接触水素化、空気酸化などの様々な気体による気相−液相反応が研究室から工業的スケールまで実施されている。気体成分を化学量論的に用いることは、他の反応形態と比較して極めて困難であり、高温条件下で大過剰の気体が用いられている。しかし、反応溶液を高温にするにつれて気体成分の液相への溶解性はHenryの法則により乏しくなるため、高温・高圧下で使用可能な耐圧容器中で激しい機械的撹拌を伴いながら実施するのが一般的である。その結果、反応装置の初期コスト、さらに導入後の維持管理コストが高いことが問題となる。気相−液相をいかに効率的に混合するかが重要なポイントであり、① 必要最低限の気体成分、② 常温・常圧条件下、③ 機械的撹拌不要 で気相−液相反応を進行させることが求められている。本講演では通常の気泡とは異なる性質をもつ“マイクロナノバブル”と呼ばれるμm〜nmスケールの気泡を利用し、従来法よりも安全かつ効率的な静岡発(初)の環境調和型気相−液相合成プロセスを紹介する。